ブラック・スワン

ブラック・スワンのレビュー

• [K]

  バレエで『白鳥の湖』の主役を演じるため、純粋なホワイトスワンと官能的なブラックスワンの両方の白鳥を演じ分けなくてはいけなくなったバレリーナ、ニナの話。もともと、純粋でか弱い雰囲気を持つニナは、ホワイトスワンは見事に演じることができる。しかし、完璧すぎて型にはまったニナの踊りは、ブラックスワンには程遠い。振り付けしのトマスはそれを指摘し、どうにかニナの官能的な面を引き出そうとする。
  ブラックスワンを表現できないプレッシャーと、ライバルに役を取られるのではないかというプレッシャー、そして、家庭内では、元バレリーナからの必要以上の期待によるプレッシャー。気の休まるところのないニナは、どんどん追い詰められ、精神的におかしくなり、幻覚のようなものを見るようにまでなってしまい、現実と幻覚との境目がわからなくなっていく・・・。
  様々な強いプレッシャーの中で、壊れていく精神、それでも主役の座をつかみとろうとする、ニナの弱くて激しい性格をナタリー・ポートマンが見事に演じきっています。ニナを追い詰めていく、母親、振り付けし、ライバル役の俳優人もかなり、迫力のある演技をしています。元スワン・クィーン役のウィノナ・ライダーもなかなか激しい演技をしています。
  主役というたった一つの栄光の座をつかむために、壊れていく人達の心。怖い内容ですが、見ごたえのある映画だと思います。

  好きな登場人物　ニナ・セイヤーズ